突発性難聴

突発性難聴とは

ある日突然、片側の耳の聞こえが悪くなる疾患が突発性難聴です。
40代~60代に多く、発症率は約3千人に1人と推定されています。
働き盛りの方に多く、男女比はやや男性に多い統計です。
多くの場合、片耳だけに起こります。
全く聞こえなくなる重度なものから、耳が詰まった感じ(耳閉感)のみの軽度なものまでさまざまなタイプがあります。
「朝起きたら、聞こえ方が変」
「急に聞こえにくくなった」
「耳鳴りがする」

ウィルス感染や、内耳の血流の循環障害などが原因ではないかと言われておりますが、現時点では原因不明な疾患です。
突発性難聴は、3人に1人は完治しますが、
3分の1はある程度の改善まで(完治までいかないが改善)
残りの3分の1は聴力の改善がみられない難治性の疾患です。

発症し、早い段階で適切な治療を受ければ症状が改善する確率も高くなり時間との戦いです。なるべく早く、放置せず遅くても2週間以内に受診することが重要です。

症状

  • 耳が突然聞こえにくくなった
  • 音が響く、エコーがかかる
  • めまいや吐き気が起こった
  • 耳鳴りが続く

難聴の分類

難聴は、大きく「伝音性難聴」「感音性難聴」と混合性難聴に分類されます。伝音性難聴とは、音を拾って増幅する器官(外耳道・鼓膜・耳小骨など)に異常が発生するもので、耳垢詰まり、中耳炎、鼓膜損傷などが該当します。基本的には治療法が確立されており、聴力の回復が期待できる難聴です。

これに対し感音性難聴は、音を信号に変換し脳に伝える神経系(内耳や大脳)に異常が発生するもので、聴力の回復は非常に困難です。突発性難聴やメニエール病、先天性難聴、老人性難聴、騒音性難聴、薬剤性難聴、急性低音障害型感音難聴などが該当します。

原因

原因は明らかになっておりませんが、以下の仮説が考えられています。

ウイルス感染

流行性耳下腺炎の原因であるムンプスウイルスに感染した際、突発性難聴にかかることが報告されていますが、ほとんどのケースではウイルスの特定ができないため、確定はできません

内耳障害

耳の奥の聴力と平衡を司る内耳と呼ばれる器官にある血管が、けいれんしたり塞がったりすることで症状が生じるのではないかという説です

耳鳴りやめまいが併発するのは、この内耳の機能障害ではないかと考えられています。内耳には、平衡感覚を感知する三半規管や前庭などの器官が存在しているため、障害が強く起こると、めまいや耳鳴りのように感じると言われています。

ストレス

人はストレスを感じると、血管の収縮反応が起こります。血管が収縮すると、内耳にも血流が十分に行き届かなくなるため、内耳は血流不足・酸素不足になります。そうすると、内耳の機能が低下し、内耳障害を引き起こすという説です。ストレスと一言で言っても、ストレスからの自律神経の乱れ、ストレス→交感神経優位→不眠、多忙からの水分不足など様々な要因が絡み合っています。

治療

突発性難聴は何月何日に発症したとはっきりわかるのが特徴で、難聴が徐々に悪化したり、日によって聞こえの程度が変ったりすることはありません。また約3割にめまいが起こりますが、一時的なもので、繰り返すこともありません。

ストレスや過労が発症の誘因になることが多いため、1日も早く入院して安静治療を行うことが望ましく、できれば1週間以内、遅くとも2週間以内の治療開始が必要です。※時間との勝負なので会社を休んでも一刻も早く病院に行かれることをお勧めします。

適切に治療すれば、患者さんの3分の1は完治し、3分の1は難聴や耳鳴りが残るものの症状は軽くなり、あとの3分の1は残念ながら治りません。

目安として、 (1)2週間以内に治療開始 (2)初診時の難聴が高度(90デシペル以上)ではない (3)めまいがない (4)比較的年齢が若い などの条件を満たせば完治しやすいといわれます。

原因として内耳の循環障害やウイルス感染説が有力視されているため、治療は患者さんの状態に合わせ、様々な方法が試みられます。

薬剤治療が原則で、ステロイド剤や血管拡張剤・ビタミン剤・代謝を高める薬剤・血液を固まりにくくする薬剤・抗ウイルス薬・漢方薬・鍼灸治療などが行なわれます。

また薬物治療に併せて頸部の神経に局所麻酔剤を注射する「星状神経節ブロック」、密閉タンクに入って徐々に気圧を上げる「高気圧酸素療法」などが行なわれる場合もあります

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